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red13

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13番目の火星へ

約束ならば 果たせそうにも ないけれど

まず此処までは 休むことなく歩いてこられた


言葉は失ってしまったけれど まだ話している


13番目の火星へ

信頼ならば 応えられそうにも ないけれど

まず此処までは 止まることなく生きてこられた


絶望は溶けてしまったから もう思い出せるよ


13番目の火星へ

期待ならば 気体に混ぜて 機体に乗せたんだ

また通信を開始して 何度でも 僕は其処まで飛ぼう
[ 2019/01/13 21:22 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)

art

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特別なモノは

特別なモノでは ナクなった

僕とキミのモノは

僕とキミのモノでは ナクなった


例えば 僕のための ウタが

僕だけのための ウタでは なかったみたいに

ああ それから 僕のための キミが

僕だけのための キミでは なかったみたいに


人差し指に 火星の衛星を 乗せて

キミは満足そうに 欠落してしまった と 笑って

僕は 土星の輪を 持て余していた

約束なんか 嫌いで


ああ 宇宙は ボクラだけのモノでは ナクなった


とてつもなくて ひろすぎて それは初めからで

知らなかっただけで 知ろうともせずに 僕は世界を語って

キミはヒレを生やして 泳ぐように飛んで 跳ねて消えて 消えた

僕は地面を這うように 手足をもがれて這うように 泳ぎ また 飛ぶよ


特別なモノは

特別なモノでは ナクなった

僕とキミのモノは

僕とキミのモノでは ナクなった


例えば 僕のための キミが

僕だけのための キミでは なかったみたいに

ああ それから 僕のための イマが

僕だけのための イマでは なかったみたいに


人差し指に 火星の衛星を 乗せて

キミは満足そうに 欠落してしまった と 笑って

僕は 土星の輪を 持て余していた

約束なんか 嫌いで


水だらけの豊潤な惑星だよ ニコ

まだ 死んでなど いない

沈んでも 浮かぶだけだ

呼吸だけ忘れるな


水だらけの豊潤な惑星だよ ニコ

生やしたヒレで 泳ぐならば

ソコは もうキミの場所だよ

呼吸だけ忘れるな


特別なモノは

特別なモノでは ナクなった

当たり前になって もう 笑えるくらい


僕とキミは

僕とキミでは ナクなった

キミのためのイマだ もう 笑えるといい


僕ならば 何度でも手を伸ばし

這うように 泳ぎ また 飛ぶよ
[ 2019/01/13 20:18 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)

cornus controver

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僕が何を残したかったのかを 思い出している

何時までも続くと 信じて止まぬ 慢心が

僕を此処まで連れて来て 今 問いかけている

お前の命は 何なのだ


僕は今 何色なのだろう

すっかり くすんで 汚れてしまって

洗い流しても 呆れ果てても 思い直しても

もう 其れは 純粋ではなく 透明ではない


放射状に伸びた枝葉を一本 選択し

切り落とした先端から 流れる樹液の色を


其の身に名を付け 形を作り 命を宿すなら

何色が良いだろう


純粋ではないならば 透明ではないならば

既に存在しているならば 何かに影響しているならば

他愛もない出来事に 傷付けられ 過ごしているならば

誰かを傷付け 其れにも気付かず 過ごしているならば

救われるならば 裏切るならば 許されるならば 繰り返すならば

其れを何色と呼ぶだろう


僕が何を残したかったのかを 思い出している

何時までも続くと 信じて止まぬ 慢心が

僕を此処まで連れて来て 今 問いかけている

お前の命は 何なのだ


欲望を溶かした水を 飲み干して 君のこと考える

何時か途切れて 終わるのならば 何を残せば 残せば

誰にとっても退屈な日 誰かにとって特別な日 誰かの生まれた日

終わる日 始まる日 繰り返す日 思い出す日 忘れる日

忘れたことさえ忘れる日 また思い出す日

考える日 君のこと考える日

僕のこと考える日


僕の命に 火を点けて

細い糸に 火が点るならば

この小さな色を 何と呼ぼうか


残した 何か を 何と呼ぼうか

残した 何か を 何と呼ぼうか
[ 2019/01/13 20:16 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)

ヘビー・スモーカーズ・フォレスト

ボクラは世界を救わない。

残念ながら本当のことだよ。

この崩れ往くために積み上げたような世界に、ボクラができることなんて少ないよ。
だから悲しい顔はしないで欲しい。嘘ならば飲み込んで欲しい。
もしもボクラが嘘の世界の住人ならばーー

ヘビースモーカーズフォレスト

「え、なに?」

イオリが首を傾げながら、横目で僕を見たので、黙ってコーヒーを飲んだ。
マンデリン。光沢を帯びたテーブル。窓。黒い箱のタバコ。灰皿。銀色のライター。

「タバコ吸って良い?」

「ん、」

文庫本に目を戻し、しかしすぐに視点を窓の外に向け、それから僕の目を見て

「ダメ」

僕は咥えたままのタバコを人差し指と親指で支えると、
そのまま3秒間、イオリを見詰めた。

「どうして?」

「マンデリン、美味しい?」

わざと忘れた忘れ物を思い出すために思い出したみたいに、イオリは言った。

すでに冷めかけたマンデリンは、しかし漆黒に揺らぎ、
小さな群青色のカップの中から、僕を眺めていた。

タバコを唇から離し、マンデリンを飲み込む姿を見届けると、
イオリは再び文庫本に視点を落とした。

茶色のカバー。
ここからでは、それしか見えなかった。
イオリが何を考えているのか、解らなかった。

ボクラは互いを理解してはいなかった。
そもそも理解する必要などあったのか。

「どちらを信じる?」

「なにを?」

「嘘みたいな本当と、本当みたいな嘘と」

文庫本に視点を落としたまま、イオリが言った。
静かな喫茶店では、それがほとんどすべての音だった。

音楽は流れていたが、知らない曲だった。
それは特に気にならず、ただ延々と続く心音と同じで、僕の中に溶けた。
僕の中に音が溶けたことさえ、イオリは知らないはずだった。

「ほとんどは嘘だよ。それが本当なんだ」

ページをめくる。

何も言わない。
何も聞かない。

小さくクシャミして、なぜかイオリは笑った。

「なに?」

「ん?」

「笑った」

「ん、」

解らなくなったことは沢山あるよ。
世の中は規制だらけで、もう安心してタバコさえ吸えないんだ。
喫煙所の有無の話じゃないよ。
僕の頭の中でさえ。

もう僕はこの衝動と、この淫猥な衝動と、この残酷な衝動と、
この従順な感情と抑圧による衝動を、白く乱れた煙にのせて、
吐き出すことさえできないんだ。

「タバコとセックスと、沢山の信じられる嘘と、
沢山の信じられない本当と、それから」

「ほんの少しの希望と」

それさえあれば、何も見えない、何も知らない、何も触れられない、
白煙にまみれたような日常の中でも、ボクラはやっていけた。

イオリ、悲しいお知らせが一つあるから、よく聞いて欲しい。
ボクラはいつかは必ず終わるよ。本当のことだ。
この純潔も、この惰性も、この欲望も、この沈黙も。

そして、まだ終わらせたくなくて必死だ。

この白煙を走って、走って、息を吸い込んで、噎せて、息を吐き出して、
休まずに走って、駆けて、駆け抜けて、やがて視界が拓けて、
飛び込んだ最初の景色が青空で、一面の緑が広がって、
オレンジ色の花が咲き誇っていれば良いのに。

「それさえあれば、やっていけるよ」

文庫本に視線を落としたまま、イオリは薄く笑った。

それから覗き込むように上目で僕を見ると、
おもむろに僕の黒い箱のタバコに手を伸ばし、
一本だけ取り出し、言った。

「吸いたい?」

ボクラは世界を救わない。

残念ながら本当のことだよ。

だけれど、できることならば
僕が君を救いたいし、僕も救われたいと願っている。
できることならば君に。

いつかは必ず終わるボクラだとしても、
どうにか終わらせない方法を無意識に探している。

「マンデリン、美味しい」

瞬間、イオリは長い睫毛の目を閉じて、満足そうに微笑んだ。
取り出した一本のタバコを唇に咥えて、火を点けるフリをして、
それから白煙の世界を泳ぐように笑った。
[ 2019/01/12 21:54 ] 小説 | TB(-) | CM(0)
目次
★説明




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★長編小説














★短編






★お笑い








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