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MAGIC

昨日は月曜日。
僕のラジオは、初めてゲストをお招きした。

ラジオ番組を始めて、早半年。
僕の番組の場合、トークや選曲はもちろん、
ミキシング(放送機材の操作)も僕が自分で行うので、
常に時計を見たり、時間に合わせて曲やCMを入れたりと、考える事が沢山ある。
この半年間で何度、放送事故未遂を起こしかけたのか解らない。

そんな沢山の試行錯誤と失敗を繰り返しながら、
少しずつ「話す」「操る」「届ける」という技術を身に付け、
『言葉』というものを、新たな角度から考え直す機会を頂いている。

半年間、ずっと自分のことで精一杯だったのだが、
この辺で一度、ゲストを招いて話してみたいと思った。
これは僕の中で、ちょっとすごい出来事だった。

先日、面白い人物と知り合ったので、
その方をお招きして、話してみたら面白いんじゃないかな、と考えた。

ストリート・マジシャンの堂本秋次さん。
彼はまだ二十代前半と若いが、落ち着いていて、何処となく不思議な佇まいをしている。
すぐそこに居るのに、すぐそこには居ないような、マジシャンらしい空気をまとっている。
実は、この「らしい」というのが重要なのだ。

料理人であれば「この人の作る料理は美味そうだな」という空気。
マジシャンであれば「この人は面白いマジックを見せてくれそうだな」という空気。
立ち振る舞いや全身から漂っている、何ともいえぬ説得力。
それが「らしさ」なのである。

そんな堂本秋次さんを、番組のゲストにお招きした。
昨日の番組のテーマが「驚き-サプライズ-」だったので、
彼をお招きしていることは、直前まで誰にも教えなかった。

一応、番組アシスタントのちゅいた君に、番組開始15分前くらいに、
今日は18時20分頃からゲストが入るよ、とだけ告げると、彼は驚いていた。
驚いていたというより、軽くテンパっていた。

本当は「驚き-サプライズ-」がテーマなので、
ゲストを招いていることさえ伏せておきたかったのだけれど、
「いきなり知らない人がスタジオに乗り込んできた」となると、
番組自体が色んな意味でテンパってしまうので、一応それだけ教えておいた。

18時20分を少し過ぎた頃、その時間は来た。
僕達は三本のマイクを囲み、それから20分ほど話をした。
堂本秋次さんは、札幌で活動するストリート・マジシャンである。
まだ若い。しかしプロ意識が高い。僕はそう感じた。

「他人に見せる」という意識が、高いのだ。
その立ち振る舞い、言葉選び、所作、動作、その隅々までに、
理由を持たせようとしている意識の高さを、僕は感じずには居られなかった。

僕自身、言葉を書く時、そうであるように振舞う。
書かれた言葉、書かれなかった言葉、書かれて削られた言葉、全てに重さがある。
伝えたい言葉によって、文体を変え、思考を変え、読み手への立ち振る舞いさえ変える。
読み手との距離感を――要するに自分の領域を――演じる「世界」を、確保する。

距離感そのものが「嘘」だ。
しかし、それが真実であるし、本質でもある。
要するに、自分が演じる役割に対して、僕達は真摯でなければならない。

堂本秋次というマジシャンの演技を見て、
僕は最近、自分の中で忘れかけていた、そうした意識に気付いた。
それに気付いたのがラジオの現場というのも、面白い。

言葉は、嘘や演技の為にあるが、
僕達は、嘘や演技からは、結局のところ逃れられない。
それで最後は、真実を選ぶのだ。

「夢や目標はあるのか」と訊くと、
「世界中にマジックを見せて回ること」と言った。

それがまるで嘘には聞こえなかった。

プロ意識。
マジシャンにはマジシャンの。詩人には詩人の。
例えば、お金が発生するからプロ意識が芽生える訳ではない。
お金が発生するというのは、純粋に契約としての「プロ」だ。
プロ意識というは、多分そういうものとは少し違う。

番組の途中で10分ほど、彼にマジックを披露してもらった。
ラジオでは言葉しか届けられないから、ネット環境のある人には、
ライブ映像を観てもらいたいなと思ったけれど、僕には言葉しか無かった。

それで少しでも目の前で起きている不思議なマジックを、
僕なりに言葉にして伝えようと試みたところ、アシスタントのちゅいた君が、
目の前で「うお~!」「すげ~!」「マジで!」「怖ぇ~!」「いやぁ~!」などと、
以後延々と10分間、生放送のラジオで、感嘆符だらけの、まったく情景が伝わらない、
それでいてリアルな、色んな意味で人間らしいっちゃ人間らしい反応を漏らし続けていた。

――「お前のプロ意識わい!」と、僕は思った。


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[ 2011/05/24 16:08 ] 雑記 | TB(-) | CM(-)
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