VOSTOK8 blog - Astronaut' Monologue TOP  >  2012年04月

call my name. (she is Mosquito.)

路上に捨てられた空き缶なんて、あまり気にしない。

同じように沢山の何でもない出来事が、僕等の日常に散乱している。
とは言え実際のところ、最近は路上に空き缶が捨てられている場面なんて、
あまり遭遇する機会が無いから、もしかしたら少しは気にするのかもしれない。
きっと立ち止まる事もなく少しだけ嫌な気分になって、通り過ぎるんだ。

道の向こうから綺麗な人が歩いてきたら、僕は彼女を綺麗な人だと思うだろう。
だけれど決して触れ合うことは無く、名前を知ることさえ無い。
後生、二度と出会うことの無い人が大半なんだ。

脚色された物語のようにバッタリ再会する可能性なんてほとんど在り得なくて、
其れは実のところ路上に捨てられた空き缶を通り過ぎるのと大差ない。
僕は病的な禁煙社会に反抗するように煙草に火を点け、吸い込み、
叫びたい何かを押さえ込み、吐き出し、祈るみたいに考える。

只、僕は名前を知りたかったんだ。

この沢山の何でもない出来事を一瞬にして特別に変える魔法が一つだけ在るとして、
もしも路上に捨てられた空き缶に名前を付けたなら、僕は何となく其れを特別に感じ、
何となく拾い上げ、もしかしたらポケットに入れて持ち帰るかもしれない。
否、もしかしたら路上のゴミ箱に放り投げるかもしれない。

同じように決して触れ合うことのない綺麗な人が、もしも名前を知る人ならば、
僕は立ち止まり、手を上げて近付き、笑って話しかけたかもしれない。

吐き出された煙には名前が無い。
しかし肺の奥に吸い込んだ時点で、或る一瞬間、其れは僕の一部だった。
僕の一部は空中に白く円を描き、やがて溶けるように消えた。
振り返ると綺麗な人は、もう其処に居なかった。

絶望を地面に埋めてはいけない。
其れは地面に根を張らず、花を咲かせない。

だから僕は名前を付けたいのだ。
絶望には名前を付けて、希望で包んでしまうのが良い。
決して忘れず、立ち止まり、手を上げて近付き、笑って話しかけたいのだ。

見慣れた、しかし知らない空き缶が、僕の足元に転がってた。
僕は空き缶を拾い上げ、まだ火種の付いた煙草を、其の中に入れた。
そして名前を付けた。
ほんの短い季節、世界を自由に飛ぶ、嫌われ者の名前を。

瞬間、僕は其れを右手のポケットに入れようとして迷い、
雲の無い、しかし雨の降りそうな空中を眺め、息を吸い、
9m先に佇む路上のゴミ箱に向け、放り投げた。

其れはやはり美しい放物線を描いて、ほんの短い時間、僕等の世界を飛んでいた。
[ 2012/04/11 15:34 ] 小説 | TB(-) | CM(0)

ボクラは正直に生きるべきだけれど、世界には秘密が在った方が楽しい。

ボクラは正直に生きるべきだけれど

世界には秘密が在った方が楽しい


密林と海底 四畳半 机の引き出し

花の咲いた草原 熱圏を裂いて宇宙

まだ知らぬ宝物に 手を伸ばしている


勝ち負けの無い世界は つまらないけれど

本当のトコロ 勝ち負けなんてあるのかな


合図で同時に手を離し ボクラは走り出した

真っ直ぐに走っても 真っ直ぐには走れずに

ほんの小さな角度の違いが 次第に大きくなり

気が付けば 姿も見えず 僕と君 離れ離れ


それで僕は立ち止まり

何もかもが馬鹿らしく思い

地面に穴を掘り 宝物を埋めた


何年間も 立ち止まり 座り込み

眠り 起き 色んなことを忘れた

足元に宝物を埋めたことも忘れた


ボクラは正直に生きるべきだけれど

世界には秘密が在った方が楽しい


密林と海底 四畳半 机の引き出し

花の咲いた草原 熱圏を裂いて宇宙

まだ知らぬ宝物に 手を伸ばしている


勝ち負けの無い世界は つまらないけれど

本当のトコロ 勝ち負けなんてあるのかな


安定と変化が 交代で

僕の元を訪れ ある時 こう言った 

「安定ばかりでも 変化ばかりでも いけないぜ」

多分 どちらにも意味なんか無くて 意味の種だけを蒔くのだろう


それで僕は背を伸ばし

何もかもが素晴らしく思い

地面に足を立て 再び歩き出した


何年間も 振り向かず 前を向き

眠り 起き 色んなことを忘れた

何の為に歩いているのかも忘れた


ボクラは正直に生きるべきだけれど

世界には秘密が在った方が楽しい


僕は 世界の何処かに 宝物を隠した

今じゃ遠すぎて もう取り戻しにはいけない

世界は広く 止まりはしないから 歩き続けるべきだ


歩き続けていれば やがて世界を一周するだろう

世界を一周すれば やがて何処かで 君に出逢うだろう

その時は 隠れた宝物を 一緒に捜して 掘り返しに行こうぜ
[ 2012/04/05 01:06 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)
目次
★説明




★短編






★長編小説














★短編






★お笑い








Blog Search
QR CORD
QR