VOSTOK8 blog - Astronaut' Monologue TOP  >  2013年05月

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誰かの悲しいアタシ。

キミが「アタシ」を後悔していることを、知っている。

ほんの些細な瞬間に。
例えば部屋の扉の回す、とても短い瞬間に。

「アタシ」と遭遇したことを。
「アタシ」を喪失したことを。

キミは後悔している。

それをインターネットの片隅に、
嗚咽みたいに吐き出している。
それを知っている。

名前なんか誤魔化したって、
趣味と特技と友人関係を見れば、
それはキミだと分かる。

ご丁寧に書かれた出身校と、
休日に散歩した近所の画像を見れば、
キミが今日、何を感じて、何を想い、何を憂い、
それと裏腹にどんなつまらない毎日を過ごしたのかも、
手に取るように分かる。

それを「アタシ」は、水槽を眺めるみたいに、眺めている。

感想なんてないし、感動なんてしない。
延々と続く後悔と、憐憫と、同情を丸ごとレタスに包んで、
届く宛もない言葉を届けようとしている姿勢を眺めている。

好きでもなく、嫌いでもない。
只、口をパクパクと苦しそうに開閉させて、
水中と水面を交互に泳ぐサカナに、餌をあげよう。

まるで手淫と自傷行為を背中合わせで繰り返すような、
粘着質な言葉に反応してあげよう。
緩慢と肥らせよう。

キミが「アタシ」を後悔していることを、知っている。

取り戻せない。
取り戻させてなんてやらない。

いつまでも苦しめばいい。
いつまでも忘れられずにいればいい。

思い出して泣けばいい。
取り乱して狂えばいい。

締め付けて染み付いて解けないくらい、
硬く縛り付けて何処にも行かなければいい。

アタシはキミの悲しい「アタシ」になって、
もう存在しない人みたいになって、
こっそり眺めているんだ。

アタシを撫でた指先で、文字を打っている。
どうしようもない文字列だ。
それは言葉だ。
感情だ。




感情を。




野菜売り場の萎びたレタスを眺めるみたいに、
また今日も眺めている。

何処にも行けずにほじくり返して、
ほじくり返して、そこで埋もれてしまえ。
埋もれたまま何処にも行かずに、もう、行かずに、
只、アタシから見える場所で、動かずに止まってしまえ。

キミの悲しい「アタシ」を想って、そのまま止まってしまえばいい。

アタシは悲しい「キミ」を想って、空っぽになった水槽を眺めるわ。
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[ 2013/05/28 01:27 ] 小説 | TB(-) | CM(0)
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