VOSTOK8 blog - Astronaut' Monologue TOP  >  2014年11月

cornus controversa

cornus.jpg

僕が何を残したかったのかを 思い出している

何時までも続くと 信じて止まぬ 慢心が

僕を此処まで連れて来て 今 問いかけている

お前の命は 何なのだ


僕は今 何色なのだろう

すっかり くすんで 汚れてしまって

洗い流しても 呆れ果てても 思い直しても

もう 其れは 純粋ではなく 透明ではない


放射状に伸びた枝葉を一本 選択し

切り落とした先端から 流れる樹液の色を


其の身に名を付け 形を作り 命を宿すなら

何色が良いだろう


純粋ではないならば 透明ではないならば

既に存在しているならば 何かに影響しているならば

他愛もない出来事に 傷付けられ 過ごしているならば

誰かを傷付け 其れにも気付かず 過ごしているならば

救われるならば 裏切るならば 許されるならば 繰り返すならば

其れを何色と呼ぶだろう


僕が何を残したかったのかを 思い出している

何時までも続くと 信じて止まぬ 慢心が

僕を此処まで連れて来て 今 問いかけている

お前の命は 何なのだ


欲望を溶かした水を 飲み干して 君のこと考える

何時か途切れて 終わるのならば 何を残せば 残せば

誰にとっても退屈な日 誰かにとって特別な日 誰かの生まれた日

終わる日 始まる日 繰り返す日 思い出す日 忘れる日

忘れたことさえ忘れる日 また思い出す日

考える日 君のこと考える日

僕のこと考える日


僕の命に 火を点けて

細い糸に 火が点るならば

この小さな色を 何と呼ぼうか


残した 何か を 何と呼ぼうか

残した 何か を 何と呼ぼうか
[ 2014/11/23 03:09 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)

gray & green

graygreen.jpg

欲望を溶かして

希望に変えるんだ


時間は いつも 僕を忘れ

名を忘れ 声を忘れ 顔を忘れ

匂いを忘れ 歩き方まで忘れる


絶望ならば 閉じ込めたりせず

たまに引き出しを開け 賢く付き合いたい


真夜中の 漆黒の森の中で

迷子になった経験など 無いけれど

此処から出たがっていることは 確かだよ


気が付けば くすんでしまった 僕の夢が

君のそばで ほら 小さく呼吸をしている

錆を落として まだ 輝けるならば


心臓が 脈を打ち

鼓動を感じずには 居られぬ日を

ずっと待ってた 今日がその日だ


生い茂っていた葉に 細く 朝日が差し込んで

無彩色のグラデーションが終わるのだとしたら

驚くほど 世界は美しく そのまま


欲望を溶かして

希望に変えるんだ


人知れず そのまま


欲望を溶かして

希望に変えるんだ


音も無く そのまま


高らかに吠える必要も

拳を挙げる必要もない


欲望を溶かして

希望に変えるんだ


ああ 思い出した

君の名を 声を 顔を

匂いを 歩き方を 僕を


気が付けば くすんでしまった 僕の夢が

君のそばで ほら 小さく呼吸をしている

錆を落として まだ 輝けるならば


森は自由に 穏やかに 枝と葉を伸ばす

人知れず そのまま 音もなく そのまま
[ 2014/11/20 14:35 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)

フライングマン

だからね、君はダメなのよ。
やりたいこともやらずに、やらない理由ばかり上手くなって。

高度に複雑化された堅牢な自我と自尊をホイップクリームで飾り付けて
また他人を誘っているのね、チョコレート・ソースはいかが?
それでアナタ、本当は――

「僕は本当は、何になりたかったんだと思う?」

思わず一口、水を飲み、それからクリーム・パスタを口に運んだ。
窓辺の席からは絶景が見渡せるはずだが、今、それは見えなかった。
電車が走り抜けて(音も立てずに)、すぐに糸くずのようになった。

「糸が繋がっているとして、何処に繋がっているかが問題なんだ」

器用に巻き込んだパスタが、再び口に運ばれる。
それは何処にも繋がってなどいないが、糸を絡めながら落ちていく。
希望を、大量の水で胃の中に流し込んで、吐き出さないように必死なのだ。
落ちた糸の行方を追い、また選択する。

それとも、すでに選択は終わっていて、
ただ、延々と惰性の中でもがいているのかもしれない。

「僕は、その糸が君に繋がっていれば良いと、何度も思ったよ、しかし」

自問しているのね、かわいそうに。
真綿を敷き詰めたベッドで眠りましょうか、それから温かいスープを。
叶わない願いと、錆を払い落としながら手に入れる、手垢のついた現実を。
驚くほどの嘘と、嘘の倍の真実を。

「君は擦り抜けるんだ、指を、僕の気持ちを知りながら、いつも」

どうせならば、嘘とも見抜けぬ嘘を、嘘とも言わずに、吐き続ければ良いのに。
やがてそれは真実みたいになって、真実はアナタを信じるのよ。
信じた嘘がアナタを形成し、やがて真実の嘘になる。

「それで僕は何者でもない誰かになって、振る舞っている」

雪が、舞っている。
地上から空中へと、翻弄されるように、舞っている。
駅前で、宛を失くした人達が、佇みながら何かを待っている。
何処へ行くにも、此処が出発点で、何処へ行くにも、此処からは遠すぎる。

渇いたパスタを、それでも巻き付け、口に運んでいる。
水を飲む。理由もなく笑う。満たされないことは解っている。しかし運ぶ。

「振る舞っているうちに、きっと僕は”それ”になってしまうだろう」

咀嚼して、消化して、吸収して。
カラになった(しかし汚れた)皿を眺めて、またこう言うのでしょう。

「こんなことがしたい訳ではなかった」

それでアナタ、カラになった(しかし汚れた)皿を、どうしようというの。
割るのも、捨てるのも、洗い直すのも自由なのに。
まるで世界が終わってしまったみたいに。

動機と理由が必要なのだとして。
明確な意図が必要なのだとして。

ならば何がしたかった。
それでアナタ、本当は――

「僕は本当は、何になりたかったんだと思う?」

空中でフォークを回転させても、何も巻き付きはしなかった。
そこに意図はなく、等しく糸らしきものもなかった。
だからアタシは最後に、こう言うのよ。

「甘いモノは、好き?」

アタシがアナタの、デザートになってあげる。
食べ尽くして、飲み干して、満たされたまま、果ててしまいなさい。
何も達成せず、何も後悔せず、何者にもなれず、何者かになりたがり続けなさい。

さぁ、次の皿が運ばれる頃よ。

「僕は君が望む君になりたかった。それこそが僕だった。
 しかし君は実体の見えない靄のようで、触れることさえできない。
 否、実際は触れているのかもしれない。しかし感覚がない。それが僕は悲しい」

だからね、君はダメなのよ。
やりたいこともやらずに、やらない理由ばかり上手くなって。

高度に複雑化された堅牢な自我と自尊をホイップクリームで飾り付けて
また他人を誘っているのね、チョコレート・ソースはいかが?



――もしもそれが厭ならば、今すぐに、餌を求めて飛ぶのよ。

糸なんて無い、空中へ。
[ 2014/11/04 03:12 ] 小説 | TB(-) | CM(0)
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