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恐怖! 恐怖の恐怖館



我々が、その山奥の館に到着したのは、
夕刻から降り続けた雨が止み始めた、午後11時半頃だったろうか。
止み始めた雨は霧のように変化して、細い山道を行く我々の視界を遮ろうとしていた。
車のヘッド・ライトだけが頼りである。

ヘッド・ライトのか細い光の先に、鋼鉄製の、頑丈そうな門が見えた。
その先に、山奥にあるとは思えない、歴史を感じさせる古びた館がそびえ立っていた。

今回、我々「月刊・恐怖」のスタッフが取材するのは、この山奥の館である。
山奥の館は、地元の住民からは「恐怖館」と呼ばれており、
外装は西洋の、伯爵か何かでも住んでいそうな、実に立派な作りをしている。
ところが誰も住んでいないはずの恐怖館で、毎晩、不思議な現象が起こるというのである。

不思議な現象に関する具体的な例を、地元の住民達は語ろうとしない。
恐らくは「それを話すと呪われる」という、地域信仰のようなものがあるのだろう。
自分達の手で、その真相を突き止めるしかないのだ。
我々は各々、車から荷物を降ろすと、恐怖の館へと近付いたのである。

カメラ・脚立・レフ版・寝袋・お菓子・水筒・週刊少年マガジン……。
荷物が多くて、中々重い。
それから肝心の wii を忘れてはいけない。

車から降りて、まず最初に、我々は小さな異変に気付いた。
恐怖の館には誰も住んでおらず、当然、照明のようなものさえ無いのだが、
何処からともなく、カレーライスの匂いが漂ってきたのである。

「……おい、何かカレーの匂いしないか?」

「……するッス、何かカレーの匂いするッス、自分も思ったッス」

取材陣の中で一番年下のカメラマン・高砂が、私の質問に答えた。
高砂は手に持ったカメラを恐怖の館に向けると、そのファインダー越しに、恐怖館を眺めた。

「ぎゃあ!」

「どうした! 高砂!」

「何かカレーの匂いがするッス!」

「……ああ、それはたった今、俺が言った」

高砂はカメラを構えたまま「……カレーの匂いがするッス」を連呼した。
一番年下だし、気が動転しているのだろうから、仕方が無い。
確かに誰もいないはずの館から、カレーの匂いが漂ってくるのは、怪奇極まりない。

「まさか小野寺、今日カレー食ったとか?」

私は同い年のフリーライター・小野寺に、そう質問した。
小野寺のカレー好きは業界でも有名だから、もしかしたら小野寺が、
たまたま今日カレーを食べていて、たまたまその匂いが漂っただけかもしれないからだ。

「いや、カレーは食ったよ。 というか毎日、三食カレーだよ。
 今日も昨日も一昨日も、カレーしか食ってないよ。
 だけどそれとこれとは話が別だろ。
 それだったら車の中で、とっくにお前ら、俺の匂いに気付いてるだろ」

なるほど、小野寺の指摘はもっともだ。
小野寺のカレー臭など今に始まった事ではなく、小野寺は常にカレー臭い。
しかし今、ここで漂っているカレー臭は、小野寺のそれとは本質的に違う匂いなのだ。

小野寺のカレー臭が、レトルト的でコンビニ的な、いわゆる作為的な匂いだとしたら、
恐怖館から漂うカレー臭は、懐古的で望郷的な、いわゆる家庭的な匂いだと感じるのだ。

「家庭の匂い……か」

私の背後で、そう呟いたのは、編集長のチャランボ松原である。
チャランボ松原は「だが、これはカレーの匂いじゃねぇ、スクープの匂いがするぜ」と言った。
その台詞に対し「そうでゲスね! そうでゲスね!」と同意したのは、副編集長のマリンバ山本だ。

「……とにかく、館に入ってみましょう、全ての謎はそれからです」

私が言うと、その場にいた全員が、各々の腕時計を見ながら「おう!」と返した。
時刻はすでに午後11時40分を回っており、出来れば今日中に、この仕事を終えたかったのだ。
私はダルビッシュの結婚騒動なども気になっており、出来れば「スポーツうるぐす」を見たかったが、
今から帰っても放送に間に合わないと思い、腹をくくっていた。

「よし、お前ら行くぞ!」

そう言ったのは、チャランボ松原の妻、松原久江であった。

■おわり
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[ 2007/08/10 23:57 ] 小説 | TB(0) | CM(3)
なんでやねん!!
読み始めた時は、少しこわめだなと思った!
だけど・・・なんでカレーがでてくるんや!?
しかも、大事なところで終るんや!?
[ 2009/11/01 14:09 ] [ 編集 ]
また
カレーかい!!太字の文
[ 2007/08/11 07:26 ] [ 編集 ]
∑( ̄□ ̄;;
おわるんかいっっっ!
[ 2007/08/11 01:07 ] [ 編集 ]
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