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night man



窓から鮮明 1LDK 本棚の端の端

一番小難しいページから 今夜も笑い声

何時の間にやら現れて 低いベッドに腰かけて 

そのくせ何も言わない まるで夏の夜の虫みたいな奴


あの本の88ページが大嫌いだ 嫌な事を思い出すから

だから88ページから現れるアイツが 僕は大嫌いなんだ

ヘッドフォンを耳に当て タバコを吐き出して 知らないフリをする

朝になれば姿を消すコトは 長い付き合いの間に覚えてしまった


アイツが現れている間に 僕が考える事と言えば 決まって同じ事で

泣かせてしまった少女の事と 食べられなかったアイスクリームの事

どちらも何も解決しちゃいない 誰も解決しちゃくれない それで僕は

同じ事ばかり考えてる 考えてる間に 色んな事は変わってしまった


例えば少女は大人になり 泣いてるどころか 知らない男に抱かれて

知らない土地に住み 知らない子供に囲まれ 知らない料理を作ってる

アイスクリームは溶けて無くなり 蒸発し 今では何処かの空気になった

手を伸ばしたって 何にも手に入るはずもないから 天井を眺めるだけだし

蛍光灯から垂れている紐に手を伸ばす 僕の役割なんて それくらいなんだ


そういう僕を 背後から 毎晩毎晩 眺めてる

アイツは時々 笑い声をあげるけど 何が可笑しいのか 解らない

教えてくれないか 僕はどうすれば良かったんだ と問いかけても

まったく意味なんて無い アイツは夏の夜の虫と同じようなモンなんだ

役立たず 大嫌いだ 88ページ アイツの笑い声


だから僕は今夜 こうして アイツを言葉にしてみせてやろうと思った

アイツは僕を見ようともせず 小難しい本に視線を落としたままなんだ

何処で手に入れたんだろうか あの大きな帽子は あの変な形の指輪は

手足は細長く 唇は薄く 笑うと目が細くなるけれど アイツに興味は無い


なぁ 気付いてるんだろ 僕がこうして オマエを言葉にしている事を

何も言わないのかよ 何も感じないのか 何の為に何年間も 僕とオマエは こうしてるんだ

夜になると現れて 朝になると消えている 読むのを止めた本みたいに 僕ずっとイライラしてるんだ

そこには何があったんだ 例えば少女は大人になり アイスクリームは溶けて消えたけれど 教えろよ

そこには何があったんだ オマエは知ってるんだろう?


するとアイツは立ち上がり 小難しい本のページを一枚 ビリリと破り 窓から飛んだんだ

両手を大きく広げても 人間は飛べないんだぜ 馬鹿馬鹿しいな ナイトマン

床に落ちたのは アイツが破った89ページ 古いページ

何にも書いちゃいなかった 馬鹿馬鹿しい


白紙を眺めて 僕は思った

あんまり馬鹿馬鹿しいから 白紙に言葉を書き殴ってやる

そうして今夜も こうして言葉を 僕は馬鹿馬鹿しくも 書き連ねている
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[ 2007/12/23 10:48 ] 詩歌 | TB(0) | CM(0)
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