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dude the dog



世界の何処かに 素敵な歌を聴かせる人がいると聞き

僕は子犬を引き連れて 旅に出る事にしたのだけれど

北へ行っても 南へ行っても 素敵な歌には出逢わなかった


西へ 西へと 歩を進めると 太陽が僕を追い越して

朝になると また現れて 追いかけてくる事を知ったので

僕は それを歌にして 見知らぬ人に 聴かせる事にした


それはブサイクな声で とても歌声とは呼べず

だけれど歌には程近く 素敵な歌には程遠い ブサイクな歌で

腹の足しにはならなかったけれど 旅の疲れを癒すのは 見知らぬ人の笑顔だと知り

僕はブサイクな歌を唄い続ける事にした


子犬が 僕の歌に合わせて 吠える ワンワン

それは それは ブサイクなリズム 吠える ワンワン

そこで僕は ギターを買って 子犬と一緒に 唄う事にした

連日連夜 人が集まり 僕と子犬は ギターを弾いて 歌を唄った


見知らぬ人は 毎日変わる

土地や 天気や 温度が 毎日変わるように

太陽は 何度も 僕を追いかけて また 追い越して行った


やがて子犬の背骨も曲がり 吠える事も出来なくなった

僕の手は細く シワシワで もうギターを弾く事さえ ままならず

子犬を抱えて歩く事さえ もう ままならず 僕と子犬は その場に座った


世界の何処かに 素敵な歌を聴かせる人がいると聞き

僕は子犬を引き連れて 旅に出る事にしたのだけれど

北へ行っても 南へ行っても 素敵な歌には出逢わなかった


西へ行っても 太陽が 僕等を 追い越していくだけだったし

今さら東には戻れない

素敵な歌を唄う人なんて 世界の何処にも いやしなかった


子犬よ 僕の子犬よ 何処にいる?

吠えてくれなきゃ お前の居場所が わからない

僕は目を閉じ 今にも止まりそうな呼吸の中で 考える


シワシワの手で ギターを弾いて 小さな歌を唄う

すると子犬は 僕に近付き 鼻先を舐める

ああ そこにいたのか 僕の子犬よ


子犬は 僕のギターに合わせて 唄う

子犬は 僕のギターに合わせて 唄う

吠えられもしないくせに まだ唄う

吠えられもしないくせに まだ唄う


ワンワンワン ワンワンワン

素敵な歌など 唄えはしないが

ワンワンワン ワンワンワン

シワシワの手 ブサイクな声 僕と子犬

ワンワンワン ワンワンワン

唄わなければ お前が何処にいるのか わからない


ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワン


拍手の音が 聴こえてくる

だけれど 目を開けても もう何も見えないな

子犬の声も もう聴こえない


拍手の音が 聴こえてくる

素敵な歌を唄う人など 世界の何処にも いなかった

子犬の声も もう聴こえない


僕は目を閉じ 考える

僕と子犬の歌が 素敵な歌に なればいいのにな

僕は目を閉じ 考える

僕等の歌が 素敵な歌に 変われば いいのにな
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[ 2008/01/10 17:28 ] 小説 | TB(0) | CM(0)
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