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春は、まだか。



風邪をひいた。

とは言え大体、僕は四六時中、風邪をひいているような、ダラダラとした面倒くさそうな風体だし、基本的に鼻声のような喋り方らしいので、あまり普段と変わらない。周囲の人達にしても、それほど違和感はなかろう。
只、本人が「風邪ひいた、風邪ひいた」と一人で騒いでいるだけである。「あ、そ」てなモンである。

それにしても今年の風邪(この「今年の風邪」という表現は、風邪をひいた時の枕詞なので、深い意味はない)は少し厄介で、喉の痛みや止め処なく流れ続ける鼻水が何日間も続くのに、熱が出ない。
ここまできたら、いっそ出て欲しい。ものっそい高熱が出て欲しい。何というか、非常に中途半端である。
コンビニの少年週刊誌コーナーとエロ本コーナーの中間に置かれた、週刊実話くらい中途半端である。
脱ぐなら脱ぐ、脱がないなら脱がない、ハッキリして頂きたい。

冬が寒い。

当然の事である。寒いから風邪をひきやすいのであるが、春が来れば風邪をひかないだろうか。
春は春で、花粉症の季節が近付いており、考えるだけで今から憂鬱だ。一年で一番、嫌いな時期である。
だが春には春の良さがあって、それは大地が芽吹き、生物達が目覚め、再び命が動き出すという感覚である。
……と、ここまで考えて、フと気付いた。

大地が芽吹き、動物達が目覚める? 春だからといって、そんな光景、そんなに目にしているだろうか?

春の事を考えた。
我々の生活の多くは、アスファルトに塗り固められた地面の上で、冬でも暖房を効かせた部屋の中で、一年中、出来るだけ快適な生活を過ごせるようにと工夫された環境の中で、繰り広げられている。そこに動物だとか、植物だとかが入り込む余地は、実は想像する以上に皆無である。綺麗事を抜きにしよう。皆無である。

「街に緑を」などと呼びかけて街路樹を植えても、それは自然とは呼べない。
部屋に観葉植物を飾るのも自然とは呼べず、素晴らしいガーデニングも人間の活動の域を出ない。
芽吹いた大地の上、咲き始めたタンポポの上を、羽を広げた蝶が飛んでいる。
それは都市伝説に近い。そんな風景が、今、何処にある?

何処にも無い、とは言わない。勿論、日本の何処かに必ず存在する。では、何処にある?
少し考えてしまった。確かに子供の頃、家の近所でそういう光景を見た気がする。確かに見た。
だが、ここ数年、家の近所でそんな光景を見たかと問われたら、そんな記憶は何処にも無いと答える。

田舎(という表現は失礼かもしれないが)に行けば、そういう光景は必ず存在するだろう。
当然だ。容易に想像できる。だが身近ではない。
ある程度、それなりに発展した都市地域で、普通に暮らす者達にとって「春に蝶が飛ぶ」のは都市伝説だ。
誰かが見た、何処かにある、という知識だけで夢想する、噂話だ。

何という「人間の為だけに構成された社会だろう」と気付いて、少し愕然とした。
そこでは植物だとか、動物だとかの存在は、人間の生活に対する、都合の良い付属物でしかない。
「植物の緑は疲れを癒す効果がある」だとか「家に帰ってペットに癒される」という感情の延長でしかない。

何処までも「人間対人間」の為だけに考え尽くされた社会。
人間さえ存在すれば問題なく取り仕切られてしまう、人間の為だけの世界。
人間なのだから、そこに異を唱えるつもりもなければ、植物や動物の代弁を気取るつもりも無い。
只、そう気付いて、僕は少し愕然とした気分になった。

春が来る。

きっと僕等の知らない場所で、種は土の中から芽を生やそうとし、動物達は冬眠から目覚める。
雪解けの川が勢いよく流れ、やがて花が咲き、その上を昆虫は飛ぶだろう。
どうでもいい。別に関係ない。僕等の生活に影響は無い。

そうか。影響は無いのか。何と寂しい事だろうな。
僕はインドアな人間だ。外は嫌いだ。部屋の中にいるのが好きなのだ。
それでも、もしも春が来たら、散歩でもしたいな。花粉が飛んでいるだろうから、苦手だけれど。

花の上を蝶が飛ぶのは、都市伝説なのか?
こうして大雪が降っているような季節では、まだ確かめようもない。
風邪をひくのは寒いからだ。寒いのは、今が冬だからに他ならない。いっそ高熱でも出ないものか。

ノドの痛みと、止め処なく流れ続ける鼻水の、その緩慢な脱力感の中で、僕は考えるんだ。

春は、まだか。
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[ 2008/02/27 03:51 ] 雑記 | TB(0) | CM(0)
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