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東京コミケ紀行 其の八(最終話)



■東京
最後の朝。
最初の夜は雷雨だったのが嘘のように、よく晴れていた。千葉の朝は穏やかだった。
5時頃、目が覚めると、隣でちゅい太君は、まだ眠っていた。一人、起き上がり、風呂に向かう。
朝方、人は少ない。露天風呂に浸かりながら、僕は昨日の出来事を思い出していた。今、とても静かだった。

風呂から出て、着替えを済ませ通路を歩いていると、ちゅい太君に会った。
「あ、いたいた」
「おはよう、風呂でも入って来たら?」
「うん、そうする」
ちゅい太君が風呂に入っている間、僕は冷たいジュースを飲みながら、煙草を吸って過ごした。
緩やかに、日常が取り戻されていく。とは言え、まだ非日常の中だ。それでも、何故か千葉の町は落ち着く。
きっと、僕が暮らしている町に、少し似ているからじゃないかな、と僕は思った。
掃除係のおばさんが、喫煙所に入ってきた。おばさんにとっては、きっと当たり前すぎる日常。僕の非日常。

13時10分の飛行機に乗る為、僕等は千葉を離れ、羽田空港に向かった。
時刻は、まだ8時半。早すぎるくらいだったけれど、実はこの後、僕には会っておきたい人達がいた。
元々、最終日に会う予定は無かったけれど、滞在中にメールで連絡を取る中で、羽田で会える事となった。
それは、ある一つの季節、あるひとつの時期、ある一つの時間、僕等が住みなれた、あの北国の町で、
共に笑い、共に悩み、生活していた人達だった。今から僕等が帰る、あの町で、共に過ごした人達だった。

この旅の終わりに、これほど相応しい相手はいない。
札幌で出会い、共に大切な時間を共有し、今は東京で頑張っている人達と会って、また札幌に帰る。
偶然の積み重ねのような旅だったが、やはり最後も、そのように出来ていた。偶然ながら見事なシナリオだ。

羽田に向かうモノレールの中で、僕は東京の町を眺めていた。
本当に不思議な町だった。きっと当たり前のように暮らしている人達は、それに気付かないだろう。
東京の町には、地方特有の文化のようなモノが無いと、ずっと僕は感じていた。情報過多。増加。飽和。
ベクトルが多方向で、その実「東京らしさ」というモノが無い。延々とテレビをザッピングしている町のようだ。
とても失礼だけれど、ずっと僕はそう感じていた。だけれど町を横切るように走るモノレールに揺られながら、
僕は少し違うだけ感想を持った。モノレールは、もっとも東京らしい、特有の文化なんじゃないか。

人と町が自然と融合し、生活の一部になっているのが「文化」だ。
当たり前に溶け込んでいるのが文化だ。それは決して、象徴になってはいけないし、誇示してはいけない。
だから例えば、東京タワーは、東京の文化では無い。もちろん国会議事堂も、東京の文化では無い。
モノレールはどうだ?きっと誰も当たり前のように感じている。川を横切り、町を横切る、奇妙な形の乗り物。
それは文化だ。ザッピングの最中に、手を止める。これは素晴らしく、東京らしい。ずっと大切にして欲しい。

子供が二人、車窓から広がる、東京の町を眺めていた。
下を見て「高いなぁ」なんて言い合いながら。
僕は、只、それを見ていた。

--------
■再会
羽田に到着したのは、午前10時頃。かなり時間に余裕がある。
会いたい人は二人。その二人共、大体11時頃に羽田に来られる、という事だった。
僕とちゅい太君は、お土産を買う為に、空港内を歩いた。
「ごまたまご、良くない?」
「ああ、良いね、これ」
黒ゴマのお菓子か。ふむ。などと一人で妙に納得しながら、僕はそれを何箱か買った。
それから(相変わらず)喫煙所に向かい、21世紀に残る最後の喫煙者となっていくべく、煙草を吸った。

10時半になり、朝御飯を食べていない僕等は、何か食べておこうという事になった。
すると空港内に「カレーとビールが美味い店」の看板を発見。
「お、カレーが美味いんだって」
「え、まさか三日間、全部カレー食べる気?」
「うん」
僕は一切の迷いも無く、その店に入ると「チキンとエッグのカレー」を注文した。
結局、僕は三日間、三皿分のカレー以外、何も口に入れなかった。我ながら素晴らしい。感動する。
これほどまでに好きになったモノに一途な自分を、我ながら褒めたい。称えたい。カレーライスを敬いたい。
カレーライスと結婚したい。指輪だけでも買っておきたい。カレーが美味けりゃ、ずっと世界は平和なのだ。

11時になり、僕は会いたかった人達と会えた。
その内の一人、後輩の佐久間トーボ君は、今では東京でダイノジさんの構成作家をしている。
今回の滞在中も当初はトーボ君の家に泊まろうとしていたのだが、何だか仕事が忙しそうだったのと、
昨夜は「ダイノジの大谷さんのご好意で、サザンのライブに行ってる」という仕事とも自慢とも付かぬ理由で、
僕は会いに行くのを(自分も疲れていたし)辞めておいたのだ。

数年前の夏、一緒に漫才コンクールの舞台に立ったのが嘘のようだ。
今、彼は曲がりなりにも「お笑い」を自分の仕事にしている。大変だろうが、自分の道を進んでいる。
僕に会うと、彼は4枚のCDをくれた。彼がオススメするロックンロールなCDだった。

僕の人生において、彼と出逢った事で受けた影響は計り知れない。
この小さく、陰気で、内気で、人見知り全開の、同じクラスにいたら目立たない子の、彼から受けた影響だ。
僕には、似た者同士を好きになり、愛そうとする習性があると思う。
しかし彼の中にあったのは、僕以上にドス黒い、変化と上昇への衝動だったと思う。
僕は彼から、ロックや、マンガや、お笑いや、本当に沢山の影響を受けた。(陰気な男同士のそれだった)

トーボ君が、電話では「飯おごってくれんですよね!」などと相変わらずな発言をしていたのに、
待ち合わせ場所に着くと他に知らない人達がいて、あからさまに萎縮した態度になったので、僕は爆笑した。
この辺の人見知り具合は、あの頃と何も変わらないままだ。トーボ君に貰った4枚のCDを、僕は眺めていた。
それを聴きながら、今、僕はこの文章を書いている。

--------
■帰郷
会いたかった人達と別れ、僕とちゅい太君は飛行機に乗り込んだ。
小さな座席に座り、窓を眺める。僕にとって、この短い三日間の旅は、本当に大冒険だった。
子供の頃、読書感想文を書く為に読んだ少年向け冒険譚のように、僕にとっては小さな大冒険だった。
まず、この旅に付き合ってくれた、ちゅい太君。そして、この旅で出逢えた全ての人達に、深く感謝したい。
シートベルトを締めて、ゆっくりと飛行機が動き始める。

東京の町は、僕に変化を与えてくれた。
千葉の町は、僕に安心を与えてくれた。

ちゃこさん。本当に短い瞬間だったけれど、会えて良かった。同じ場所にいられて良かった。
KIHIROさん。会場に足を運んでくれて嬉しかった。今度はゆっくりお会いしたいものだ。
るどさん。僕等の壁や、緊張を取り除く役目を演じてくれて、どうもありがとう。

ちこさん。笑顔の似合う元気の良い人で、礼儀正しく、想像通りの親しみやすそうな人だった。
ゆんさん。気配りの出来る優しい子。エレベーター内での「教祖様……」発言は忘れません。頑張るよ。
なつめさん。頭の中に沢山のアイデアや夢が、きっと沢山詰まっている子。少し照れた感じが可愛かった。
奏湖さん。ずっと知っていたけれど、やっぱり歌が上手だったな。迷ったら、何時でも声をかけたら良いよ。
卵茶さん。予想を裏切る男前だった。カラオケでの歌は、実は僕の好みだった。仲良くなれそうだと思った。
黒さん。車は本当に良い思い出になりました。さり気ない周囲への気遣いは、大きな優しさだと思います。
ロシュさん。良い意味で裏切られました。「厭味なハンサム」とは逆方向のイケメンで、好感を持ちました。
サクさん。自分じゃ気付いてないかもしれないが、君は充分目立ってました。全てが君らしくて、嬉しかった。

アリエスさん。今回は会えなかったけれど、きっと何時かお会いしたい。
蓮火さん。当日はライブ、お疲れ様でした。今回は残念だったけれど、その気持ちは受け取っています。
砂藤菓子さん。素晴らしい挿絵、本当にありがとうございました。そして今後も、何卒よろしくお願いします。

SOYUZ。僕等を評して色々な人が「SOYUZは、しのめんさんがお父さん。志津さんがお母さん」と思うだろう。
だけど僕等の関係を一番的確に表すならば、実は週刊少年ジャンプの「SKET DANCE」に出てくる三人だと、
以前から僕は思ってます。どちらにせよ僕の役目は、きっと今後もこんな感じなのです。

しのめんさん。道は長いけれど、頑張りましょう。
志津さん。道は長いけれど、頑張りましょう。

飛行機が加速する。再び、背中にGを感じる。走る。加速。加速。
上昇。
飛行。

再び、僕の日常が帰ってくる。
中学生の頃、初めてDeep Purpleを聴いて、それだけでロックの全てを知った顔になったように、
たった三日間、東京を通り過ぎたというだけで、僕は人生の何たるかを、少しだけ知った気分に浸っている。
東京には行きたくなかった。だけれど本当に、行って良かった。世界は、僕が想っているよりも、素晴らしい。

さて、9月からは【M線上のアリア】の一般販売が開始される。
もう、すぐ目の前だ。
きっとSOYUZは、何時もの如く、これからアタフタするだろう。
僕は二人に迷惑をかけながら、また好き勝手な事ばかり言うのだろう。
それでも、以前とは少しだけ違う。僕等は触れ合ったのだ。その目で見たのだ。

そしてまた、世界は動き始めるのだ。

【M線上のアリア】を読む。
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[ 2008/08/26 19:14 ] 告知:M線上のアリア | TB(-) | CM(-)
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