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BaD SYnDromE



そして、其れは嘘だ。考え付く限りの悪い夢だよ。
太陽の黒点に憧れて、身を焦がした男の話を知っているかい?
電車の中で二人の大学生が交わしていた噂話だから、嘘かもしれない。
とにかく彼等は麻色のシャツを着て、吊革に掴まりながら、僕の耳元でこう言った。

夢を見るよ。毎晩の夢だ。
其の夢には「黒点の男」が三日間、必ず出てくる。
一日目は裸で。黒点の男は小さく、其の背後に輝く太陽も小さい。
二日目には服を着る。真黒な服だ。黒点の男は地面に座り、本を読んでいる。
薄い本だ。一時間程度で読める薄い本が十二冊。それが地面に積み上げられて置いてある。
黒点の男は本を読む事を止めようとはしない。其の背後に太陽が、大きく近付いている事にも気付かない。
其れだけの夢だ。

三日目。眠りに就くと、何も無い真白な地面が現れる。其処には本当に何も無い。
黒点の男も、太陽も無い。空間が小さく上下に揺れていると感じるが、地震という訳でも無い。
地面は緩やかな丸みを帯びている。其れは丁度、小高い場所から丘を眺めたような、緩やかな丸みだ。
しかし、すぐに気付いた。其れは地面では無く、実は……。

其処まで話したところで、二人の大学生は電車を降りた。
だから僕は、其の話の続きを聞けなかった。だけれど話の結末ならば知っている。どうしてだと思う?
僕も毎晩、其の夢を見ていた一人だからさ。黒点の男と、真白な地面の夢だ。

もしも三日目の夢の結末を知ってしまったなら、或る種の覚悟を決めなければならない。
それは「世界が裏返しになる」って事と、まったく同じ意味なんだ。だから君に、この夢の結末は話せない。
一つだけ言えるならば、其れは嘘だ。考え付く限りの悪い夢だよ。そして、其れだけなんだ。

もしも今晩、それとも明日の晩、黒点の男が夢に出てきたなら、早めに覚悟を決めた方が良いだろう。
一日目ならば間に合うはずだ。二日目ならば手遅れだ。終ぞ三日目の結末を知ったなら教えてくれよ。
黒点の男は、只、あれを望んでいるのさ。穏やかな丸み。真白。其の末端を真赤な河が浸食するだろう。
地面から水が湧き出せば、君も知るだろう。忘れがちだけれど、僕達には四日目が用意されるという事を。
嗚呼、また残酷な五日目が始まるが、其の前に安息の四日目を楽しんでおいてくれ。憐憫の真夜中さえも。
六日目が始まれば僕達の身体は枯れ果てて、七日目には朽ち果てる。其れを何度でも繰り返す。

只、丸みを帯びた真白な地面だけが、揺れるんだ。
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[ 2008/09/13 06:42 ] 小説 | TB(-) | CM(-)
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