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レンカ song : 8

雪が止んだ。


町に雪が降らなくなった。


雪が止んだ。


僕は歌を歌わなくなった。





此の町に雪は、降らない。








icon-renka.jpg
song : 8








少女が部屋を訪れた吹雪の夜。

あの次の日からもうずっと

雪は降っていなかった。



少女からの手紙も来なくなった。

窓を開けても誰も来なくなった。



僕は窓際に座り

誰も居ない其処を見た。

気が付くと

窓際に灰皿を置き

煙草に火を点けた。



窓際で煙草を吸う癖は

もう抜けたと思っていた。



少女からの手紙も来なくなった。

窓を開けても誰も来なくなった。



何時しか僕も歌を歌わなくなった。



理由はよくわからなかった。

どうして手紙が来ないのか。

どうして此処に来ないのか。

どうして歌を歌わないのか。

ただ、もう、雪が降らなかった。



辺りは静かになった。



どうして歌わないんだろう。

少女が来ないからか。

どうして歌わないんだろう。

音が無くなっていく。



ただ、もう、雪は降らなくなり

太陽の照らす暖かい日々が続いた。






手紙が届いた。








「花が、咲きました。」








花。

そうだ。

僕と少女は互いに種を蒔き

花を咲かせようとしていた。



花。

そうだ。

少女は花に水を与え続けて

そうして花を咲かせていた。



だけど花は咲いたけれど

僕はどうすれば良いのか

何もわからなかった。



少女が来なくなって

歌を歌わなくなった。

ただ静かになっていく部屋の中で

僕は少女の肌に触れたいと思った。

無言のまま。



花は咲いたけれど

僕は何もしなかった。

花の歌も歌わなかったし

見に行く事もしなかった。

僕は此処から出られないから。



ただ静かになっていく部屋の中で

僕は少女の肌に触れたいと思った。

無言のまま。




雪は降らなかった。



静かな日々だった。



雪は降らなかった。



だけど本当は何一つ



静かな訳じゃなかった。



かすかな音に耳を澄ませられたなら。



手紙が届いた。










「花は、枯れました。」












僕の歌は

僕の為に

歌うべきだ。



僕の歌は

誰かの為に歌えるような

そんな立派なモンじゃない。



僕の歌は

僕の為に

歌うべきだ。



僕の歌も

まだロクに歌えないのに

誰かの為に歌おうなんて。









再び、雪が降ってきた。









此の町に花は咲かない。

毎日雪ばかり降ってる。

地面は雪の下に隠れる。



此の町に花は咲かない。

なのに種を蒔く人が居た。

花を咲かせようとしてた。



此の町に花は咲かない。

だけど僕達は子供みたいに

何時か花は咲くんだと思ってた。



僕は無知に。


君は純粋に。






そして

花は咲いた。






そして

花は枯れた。






大切なのは

花を育てる力が

僕に有るかどうかだったんだ。








ただ、馬鹿みたく、僕は泣いた。

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[ 2008/12/10 14:15 ] 長編:レンカ | TB(-) | CM(-)
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