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一週間の恋人。

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恋人のことは、人前では「恋人」と呼ぶようにしている。

実生活でもそうなのだけれど、
小説を書く時にも「恋人」という語感を好んで用いてきた。
まぁ、呼び方など、些細な問題ではある。

しかし、気になってしまうのは、その言葉の響きなのだ。
「そういや昨日、○○がね……」
彼女、相方、ハニー、ウチのワイフ、etc...
確かに他にも呼び方は色々あるが、どれもしっくり来ない。
という訳で、幾分か古臭くレトロな響きを持った「恋人」という語感に、
僕は心躍らせてきたのである。そして恐らく、それは恋人も同じだったと思う。

僕は、あまり人前で、恋愛沙汰の話題は口にしない。
恋愛小説だとか、青春小説だとか、
そんなもんばかり喜んで書いているくせに、
自分の恋愛話となると、とんと口を塞いできたのである。

恋人とは、一緒に居たい。
僕は随分、相当、多大に、過剰に、非常に好き勝手に、
今振り返ると酷い、本当に酷い、精一杯ではあったけれど酷い、
とはいえ自分の信じる限りでは、真っ直ぐに生きてきたもんだから、
本当に苦労をかけたし、迷惑をかけたし、これからも沢山かけてしまうかもしれない。
それでも一緒に居たいと、思うのだ。

真っ直ぐに、自分が納得するように生きたかった。
その為に僕は今まで、本当に沢山の人達を傷付けてきたと思う。
しかし僕は、今日までの人生の中で、自分が最も傷付けた相手は誰かと問われたら、
間違いなく、僕の恋人だと言える。本当に。
沢山の人を傷付けた、と言っているのに、尚酷く。
小説が一本書けるほど、信じられない仕打ちを沢山した。

そんな人が今、こうして傍に居てくれる毎日に、感謝したい。
僕の生涯で最も不幸にさせた人だ。
僕の生涯で最も幸福にしたい人だ。

一週間後、僕は恋人と、結婚する。

親族と仕事関係の相手以外には、今、初めて言った。
少し前までの自分なら、夢にも思わなかった道かもしれない。
今は自然と、本当に自然と、その道を選んでいる。

何時の頃か、僕は、僕にとって大切なモノは何なのかを、ずっと考えていた。
世の中には、大切だと信じられている物事が、本当に沢山ある。
それが実際に大切なのだという事も、僕は知った。

それでも僕は、例えば恋人と一緒にご飯を食べると楽しい。
どんな嫌な日でも、たったそれだけで、泣きたくなるほど嬉しい。
何時だったか、些細なことでケンカした翌朝に、僕達は一緒にパンを食べた。

前日から、僕達はずっと無言だった。
重たく気まずい空気が部屋中に充満して、互いに何も話さなかった。
目覚ましが鳴ってむくりと起きて、パンを焼き、僕達は無言のまま食卓に着いた。
焼き立てのパンを一口食べて、僕は小さく「美味しいな」と言った。

言った途端に安心して、何故かホロリと泣いてしまった。
隣を見ると、何故か恋人も、パンを食いながら泣いていた。
それで仕方が無いから二人して、泣きながら焼き立てのパンを食べた。

一緒に食べるご飯が美味しい。
それ以上に大切なことって、本当に、世の中に必要だろうか。
僕は、どれだけ欲しい物が手に入っても、有名人になっても、他人に慕われても、
誰かと一緒に食べるご飯が美味しくなければ、そんなに悲しい毎日は無いと思う。

今も昔も、身を削るように、命を削るように、言葉を綴りたいと思っている。
それでも、何かを守るように、生きてみたいとも、思うのだ。
僕は自分の手で、家庭を作ってみたいのだ。

誰かの事を「恋人」と呼ぶのは、あと一週間で終わりだ。
最初かどうかは知らんけど、この人が、僕の最後の恋人なのだな、と思う。
それ以降、あとは死ぬまで、僕に「恋人」という存在ができる事は無いのだ。
そう考えると、実に感慨深いものがある。

恋人のことは、人前では「恋人」と呼ぶようにしている。

あと一週間。
彼女でも、相方でもない、恋人。
残り少ない時間だけれど、大切に呼ぼうと思う。
そしてまた、その先の毎日を、もっと大切にしたいとも思うのだ。
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[ 2009/12/06 09:26 ] 雑記 | TB(-) | CM(-)
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