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ある光

鉛4


――僕は、辰吉丈一郎というボクサーが好きだ。


先月、僕が【鉛色のサンデー】という作品で参加させて頂き、
何度もココの記事で話題に挙げて、皆さんにも投票を呼びかけていた、
アルファポリス『第2回青春小説大賞』の結果が、昨日、遂に発表されました。

それを僕は昨夜、仕事中に知りました。
この『青春小説大賞』で頂ける賞には『大賞』と『読者賞』がありまして、
皆さんに投票をお願いしていたのは、実は『読者賞』だったという事になります。
これは「期間中、もっとも読者投票が多かった作品」に与えられる賞でした。

応募総数は133作品。

『読者賞』は賞金10万円。
「開催期間中の最高ポイントの作品が受賞」と表記されていました。
僕の【鉛色のサンデー】は、読者投票では最終的に10位前後だったと思います。
とても有り難い得票数ですが、残念ながら読者賞に手が届く位置ではありませんでした。

『大賞』も同じく、賞金10万円。
「アルファポリス編集部にて選考」と表記されていました。
文章書きの賞レースとしては、実際は、こちらこそ本番だと思います。
僕は、この『大賞』に自分の作品が選ばれている可能性に胸を躍らせながらも、
至って冷静に、自分の作品が大賞に選ばれる資格などあるのかと、自問していました。
そして『結果発表』のURLを開いたのです。

そこには編集部からの総評として、このように書かれていました。

--------
■結果発表

賞名:アルファポリス「第2回青春小説大賞」
応募総数:133作品
開催期間:2009年11月1日~末日

選考概要:(原文ママ)
編集部内で大賞候補作としたのは「鉛色のサンデー」「ショコラと現実じゃない場所」「彼女の選択」「うちのお兄ちゃんを紹介します」「ドブネズミと捨て猫とノラ犬」「生徒会長はじめました。」「彼女と彼と0地点」の7作品。残念ながらそのまま出版ができると判断した作品はなかったが、議論の末、総合的に見てもっとも大賞にふさわしい作品であるとして「彼女の選択」を選出した。タイプの違う四人の女の子達の青春模様をそれぞれに起こる恋愛を通して描いた作品であり、全体的にこぢんまりした印象で物足りなさが若干残るものの、文章・ストーリーとも完成度が高いと評価した。そのほかでは「鉛色のサンデー」は独特のクールな世界を描いてとても魅力的であったが、感覚的に80~90年代的であり、いまの読者のニーズに合うか疑問だった。「ドブネズミと捨て猫とノラ犬」は冒頭の母親とのシーンが、非常に強いインパクトがあり期待させるものであったが、以降のストーリーが弱く残念だった。

※原文→第二回青春小説大賞結果発表ページ
--------

大賞候補作。
如何ともしがたい距離。

『大賞』は――【彼女の選択】。

僕では無かった。
僕の作品では無かった。

とても悔しかった。
悔しくて、悔しくて、悔しかった。

編集部の総評には、
僕の作品【鉛色のサンデー】の名が挙がっていた。
そこには「とても魅力的であった」とさえ書かれていた。
最終選考で選ばれなかった作品に対する、最大限の賛辞を頂いた、とも思った。
そして、だからこそ、悔しかったのだ。

あと一歩、届かなかった。

その一歩が、髪の毛一本分なのか、鼻の差なのか、
はたまた大股一歩分なのか、距離の違いは、解らない。
しかし解ることは、この一歩は、絶望的な一歩だ。
届かなかった一歩だ。

この瞬間。
僕は生まれて初めて、敗北したボクサーの気持ちというものを、
ほんの少しかもしれない、しかし、ほんの少しだけだけれど、本当に理解した。

テレビで何度も観た、
「応援ありがとうございました。」
「期待に応えられなくて、すみませんでした。」という光景。

別にボクサーに限った光景ではないかもしれないけれど、
僕は、敗北したボクサーが、敗北した直後に記者会見で話している、
あの強烈な(何と声をかけて良いのか解らぬ)光景を、瞬間的に、脳裏に浮かべたのだ。

どんな結果になろうとも、僕は書くのを辞めないし、
自分が世界と繋がる手段としての言葉を、大切に思うだろう。
結果が出る前、僕はそう言った。

結果が出た後、僕はこう思った。
あれだけ皆に応援して頂いたのに、申し訳ない。情けない。
賞を獲っておきたかった。どうしても。僕は形ある実績が欲しかったのだ。

あと一歩。
欲しかった結果を出せなかった。
応援してくださった方達に、申し訳ない気持ちで一杯だった。

しかし僕は、やはりこの時も、周りの人達に救われた。
あの総評を読んで、僕の周りは、何故か僕より「うれしい」と言ってくれた。

「名前を挙げてもらっている」
「これは本当にすごいことだ」
「一万円は当たらなかったけどね」

そんな風に、冗談めかして。

妻は総評を読み「色々間違ってないと思った。」と言った。
続けて「今回、大切なモノを見せて貰ったような気がする。」と言い、
最後に「うれしい。とてもうれしい。」と言った。

そうか、じゃあ良かった、と思えた。
この結果に、皆が喜んでくれたなら、僕もうれしい。
とても単純な考え方だけれど。

皆が喜んでくれる。
その為に作品があって、繋がりや、関わりがある。
僕が選んできた道は、多分、きっと間違ってなかった、と思った。
それが確認できて、良かった。
皆さんのおかげです。どうもありがとう。

倒れても、何度でも立ち上がるボクサーは、やはり格好良いと思う。
僕が、辰吉丈一郎というボクサーが好きなのは、ボクシングが好きで、どうしても好きで、
好きなのが当たり前で、当たり前だから手放す理由が見当たらずに、嗚呼また立ち上がる、
その愚直で、純粋で、痛々しいまでの真っ直ぐさを、目で追ってしまうからだ。

どんな結果になろうとも、僕は書くのを辞めないし、
自分が世界と繋がる手段としての言葉を、大切に思うだろう。

僕の執筆と、ボクシングを一緒にするのは、おこがましい。
しかし何度だって立ち上がろうと思う。打たれるのは痛く、負けるのは怖いが。
それでも僕は、僕の想いが文字に乗り、誰かに届いた瞬間が、最高に、最高に好きだから。

期間中、鉛色のサンデーに投票してくださった方達に、
ほんの少しでも興味を持って、お読みになってくださった方達に、感謝します。
あらゆる場所での書評・応援・紹介してくださった方達に、改めて感謝を。
結果を出せなくて、すみません。どうもありがとうございました。

最後に、このような機会を設けてくださり、
全ての参加作品に対して、真摯な選考をしてくださった、
大会主催者『アルファポリス』に、深く感謝します。
大賞作品【彼女の選択】を執筆なさった、さくら様、心からおめでとう。

――2009年3月8日。
復帰第2戦を7回TKO負けで落とした辰吉丈一郎は、
試合後、こう言った。


「俺はまだ終わっとらん」


その何かは、常に満ちている。
世界中に満ちてはいるが、見付けるのは難しい。
僕が見付けた何かならば、僕の何かだ。しかし、誰かと分かち合う事は出来る。
何度でも、何度でも、倒れても尚、立ち上がろうとして止まぬ、透明な何か。
例えば魂。
それが今、僕の中に、目の前に、在るとして。
それを僕は、こう呼ぼう。

ある光、だ。
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[ 2009/12/16 12:22 ] 雑記 | TB(-) | CM(-)
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