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姫子と牛彦とマールボロ・ライト

暦は文月。愛逢月である。
一年も半分が過ぎ、また「文月」と呼ばれる月でもあるし、
たまには真面目に、雑記でも書いてみようかな、と思うのである。

文月――つまり七月は、別名が「愛逢月」である事からも気付く通り、
まぁ、暦の読み方なんぞ知らなくとも気付くだろうが、七夕が行われる月だ。
7月7日に、織姫と彦星が一年に一度だけ逢える、という設定になっているのは、
1993年7月7日に「新加勢大周」がデビューしたのと同じくらい周知の事実だけれど、
そんな事より、ここで注目したいのは二人の呼称が「織姫と彦星」だという点だろう。

織姫と彦星――この呼び方に、軽く違和感を覚えるのは何故だろう。

それは、二人の関係が決して「彦星と織姫」では無い部分にある。
先に呼ばれるのは織姫なのである。決して彦星ではない。
織姫あっての彦星。織姫ありきの彦星。織姫なめ~の彦星。
織姫から始まる(イエイ!)山手線ゲーム(イエイ!)。

そんな織姫のバーター・彦星であるが、話を掘り下げると更に酷い。
そもそも織姫は天帝の娘であり、超が付くほどお嬢様。いわゆる箱入り娘だった。
にも関わらず機織りが得意な働き者――『ラブプラス+』でいうところの高嶺愛花。
それが織姫だった。

そんな愛花が……いやさ織姫が、何処でどう道を誤ったのか、牛飼いを好きになった。
この牛が大好き・彦星くん、真面目だけが取り得、ネトゲが生き甲斐の男の子。(一部曲解)
そんな牛彦くんを見て「別にアンタを好きな訳じゃないんだからね」的なアレか知らんが、
姫子が「け、結婚してあげてもいいわよ」的なアレをやっちゃったもんだから、さぁ大変。

お父様であらせられる天帝が「ちょ、ま……ッ!」と止めるも、時すでに遅し。
姫子は一度決めた獲物は決して逃さない、恐ろしい子。
戦場での呼び名は「リジッド・ヘドル(現地の言葉で「黒き機織娘」の意)」。
見事、牛彦くんのハートと、その財産を手に入れたのであった。

ところが誤算だったのは、結婚した途端に牛彦くんが牛を追わなくなった事である。
姫子の美貌と、戦場で身に付けた洗脳術によって、牛彦は傀儡と化していた。
そんな偽りの幸福が故に、牛追いの仕事を放棄してしまったのである。
仕事を放棄して、姫子と二人、ネトゲばっかりしていた。

その姿、かの『封神演義』における妲己と紂王の如し――。

天帝は、居ても立ってもいられず、二人を引き離す事にした。
有無を言わせず「離婚しなさ~い!」
しかしリジッド・ヘドル(黒き機織娘)が、そんな話を飲むはずも無い。
彼女はお気に入りのマールボロ・ライトに火を点けると、煙を吐き出しながら言った。
「パパ、解っちゃいないわね。私と彼は一心同体。もう離れられないのよ」
ゆっくりと煙を吸い込む。

しかし天帝も、それで納得する訳にはいかない。

「父として……では無い……! これは天帝としての命令だ!」
「オー・シット! パパ、それって立派なパワハラよ?」
「パワ……ッ!?」

こんな単語が日常会話に、まったく当たり前のように出てくるなんて、
情報社会、とりわけネット社会は怖い――天帝は思った。

「お……お前は洗脳されているのだ! この男に!」

天帝の台詞が虚しく響いた。
洗脳したのは姫子の方だが、それを天帝は知らない。
姫子は思わず笑いそうになったが、その下婢た感情を口元の寸前で堪え、
代わりに言った。――「なるほど、そうかもね」

翌日、姫子は牛彦に、広報を通じて一方的に離婚を告げた。
ハイパー・メディア・クリエーター・牛彦はショックを隠しきれなかったが、
それが姫子の政略的な行動であると気付くまでに、そう時間はかからなかった。

(なるほど……姫子の奴、天帝という巨大な資本に逆らうような真似はせずに……)

あくまでも全てを手に入れるつもりか――牛彦は悟った。
だから牛彦は、自分が次に取るべき行動を、瞬時に理解し得たのだ、すなわち。

「……一日だけ! 一年に一日だけで良いんです! どうか姫子に逢わせてください!」

天帝に泣き付き、頼み込み、離婚だけは食い止める。
恐らく、姫子の狙いもそこにある。
あの離婚宣言は、天帝を欺く為の、完全なるフェイク……ッ!

それから牛彦の数十年間は、天帝と、ストーカー規制法との戦いだった。
訴える。訴えない。訴える。半径1km以内に入る、入らない、入らない、入らない。

長い裁判の末、ようやく牛彦が手に入れた希望。
……それは「一年に一度だけ、姫子と川越しに逢える」という権利。
その夜、牛彦は吠えた。歓喜の叫びを。ツイッターで140文字以内で吠えた。
姫子は、その様子をTLで優しく眺めていた。(リツイートもした。)

織姫と彦星。
肉食系女子と草食系男子の遠距離恋愛。
それが七夕の、真の姿である。

愛逢月。
一年に一度だけ、惚れた女に逢える。
悲しき牛飼い男の物語。

彦星。
夜空に輝く一等星。
わし座のアルタイルが、それである。








おうし座じゃないのかよ。
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[ 2010/07/01 12:24 ] 雑記 | TB(-) | CM(-)
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