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フライパン、雨、ミニスカート。

自慢のフライパンで

また焦がしてしまった

目玉焼きみたいな毎日だ。


雨に濡れた地面の上を

走り抜ける 車輪の音。

国道沿いに 並ぶ街灯。

一日は終わり 既に始まっている。


制服のミニスカートが

揺らぎながら 水たまりに反射している。


上手くいかない出来事と

上手く折り合いを付けられるようになって

納得いかない出来事さえ

納得する術を身に着けられるようになった。


今日の朝食くらい抜いたって

そこまで健康には支障はないし

君の笑い声や歩き方を忘れたって

何事もなかったように生きていけるよ。


誰もいないキッチンで

僕の目玉焼きは熱を冷まして

食べることも 棄てることも 出来ないで。


魂は何処に消えたと問われたって

魂なんて見たことがないよ 僕は。


それで 錆びた蛇口をひねるように

渇いた土の地面を 素手で掘るように

明日ではなく 昨日のことを考えるように

大人ではなく 子供として生きていた頃のように

嗚呼 言葉にできない言葉を 言葉にする瞬間のように

君を 思い出してみた。


鼻歌と 天気予報と 指先と

嘘みたいなロックンロールと 真実みたいな嘘。


ボクラは嘘を吐いた訳ではないけれど

嘘じゃなかったことは そんなに何個も残らなかった。


最終的にボクラは 一緒ではなかったし 一個ではなかった。

その代わり 多分 一瞬ではなかったし 一個でもなかった。


バラバラに砕け散ったボクラは

バラバラに砕け散ったオカゲで

それ以上 死ぬことも 生きることもなく
 
ほとんど 永遠になった。


それ以上 好きになることも 嫌いになることも

無関心になることもなく 無責任にもなれず

ある種の色みたいに染み付いてしまった。


掌に残った ほんの数粒を

どうしようかと 問いかけてみる。


魂は何処に消えたと問われたって

魂なんて見たことがないよ 僕は

と また嘯いている。


僕の魂は 無意識に

鼻歌に 天気予報に 指先に

とっくに ずっと 住み着いていたのに。








細かい雨が しかし長い間 降っている。








暗闇の中

ロックンロールを覚えた頃みたいに

その小さな雨音を 僕は聞いていた。




聞いていた。




聞いていた。




目が覚めると 朝になっていた。




自慢のフライパンで

また焦がしてしまった

目玉焼きみたいな毎日だ。


鼻歌を口ずさみながら

僕は それを食べる。


天気予報を眺める。


靴を履き

家を出る。


指先で鍵を半回転する。




水たまりを眺める。


何も 反射してはいない。






国道をバスが通り過ぎる。










追いかけるような 呼吸音 足音。










制服のミニスカートが

揺れながら 水たまりを豪快に飛び越え

立ち止まる僕の横を 颯爽と駆け抜けた。
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[ 2013/09/12 00:25 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)
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