VOSTOK8 blog - Astronaut' Monologue TOP  >  スポンサー広告 >  小説 >  S

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

S

シンプルな物事が一番強いと、僕は知っていた。
知っていたのに、どうしてこうも簡単に失ってしまったのだろう?

裸の君を抱き締めて、その瞬間に、
その温度で、生きてる意味を簡単に確認できたのに。
今じゃそんなモノ、何の手がかりにもならない事を、僕は知っている。

息を深く吸い込むだとか、
違法な薬を飲み込むだとか、
手首を切るだとかの手段でさえも、
僕の中の不安定な感情を満たしてはくれない。

それで僕は七転八倒、抱腹絶倒な手段を生み出して、
蜘蛛の巣のような世界の意図を知りたがっているという訳だ。

君は僕を必要とするだろうか。
必要としないなら。

そんな世界は崩れ去ってしまえば良い。
僕が存在する意味が解らない世界ならば、僕を必要としないならば、
白いミルクを垂れ流した液体を、細いスプーンで掻き混ぜるように、
混ぜ返して何も解らなくしてしまえば良い。

僕は一人では生きていられないのだ。なのに。
生きなければならない。ならば。
何の為に。

それで僕は混ぜ返した液体の中から、
一秒後にも泣きそうな情けない顔を晒して、
白いミルクを探している。

もう遅い。取り返しの付かない事をしてしまった。

白いミルクは消えた。否、消えてはいない。
混ぜ返した液体の中に、それは今も密やかに存在して、僕が気付くのを待っている。

それで僕は、それに気付いた。
今更になって、蜘蛛の巣の意図を知る。
そして、ようやく、シンプルに。

世界は僕を必要とはしない。
初めから、終わりまで、一秒たりとも、僕を必要とはしない。
僕は一人だ。
初めから、終わりまで、一秒たりとも、誰も僕にはなってくれない。


君の裸が見たいな。


僕では無い、君の裸が見てみたい。
指で撫でたら、一体どんな声を出すだろう。

僕は嘘吐きだ。
それでも世界の意図を知りたがっている。
一人は嫌いだ。
だから君に触れたい。

それでも、もしも君が消えるなら、
僕は黙って、あの液体を飲み干すよ。
そして飲み干した事を、覚えている。

世界に必要とされない世界の中で、
本日も僕は、世界を必要とする。
関連記事
[ 2013/11/03 21:36 ] 小説 | TB(-) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
目次
★説明


★長編小説














★短編






★お笑い








Blog Search
QR CORD
QR


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。