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アイ・ユメ・ハナ

iyh.jpg

今から十年以上前に、The Cherry Boy というバンドが居た。

今は居ない。
もう解散してしまったから。

それでも The Cherry Boy というバンドが残した
都市伝説的ともいえる何個かの逸話を、僕は今でも覚えている。

それは例えば、北海道出身だった彼等が
当時の北海道のインディーズ記録を次々と塗り替えて
人気絶頂だったバンド HY まで抑えてインディーズ CD の売上
第一位を獲得した、だとか、いやしなかった、だとか。

HY といえば、今でもカラオケで歌われる名曲「AM11:00」や「あなた」。
あの頃、誰もが一度は聴いたフレーズ「でも君が好き(♪この世界が闇に~)」の HY。
――そう、かの Linkin Park も、その実力を認めた、あのHY。

あの HY を抑えて、北海道のインディーズを盛り上げていたのが
その The Cherry Boy というバンドだった。らしい。
そんな噂を聞いたことがあるし、多分、まぁ、恐らくそうなんだろう。

もうひとつ、彼等を語るとき、僕が個人的に好きなエピソードがある。
それは楽しく、少し悲しく、しかし小さな驚きにあふれているエピソードだ。

当時、そんな The Cherry Boy の元に、ある製菓会社から CM の話が舞い込んだ。
彼等は CMソング を用意するが、残念ながら直前で CM 話は立ち消えになった。
多分、こうしたことは業界的には、きっとよくある話なのだろう。

しかし、当時の話の流れや、結果を見ると、その顔ぶれがすごい。
その CM こそが、今でも江崎グリコの看板商品である、ポッキー。
そして実際に、その時の CM に起用されたグループこそが
ブレイク直前の、モーニング娘。だった。

この、紙一重感。
何とも言えない気持ちになる。
人生の不思議を想わずにはいられない。

なんとも都市伝説じみたエピソードだが
彼等には「ストロベリー」という甘くてポップな楽曲があるし
毎年、ポッキーの日にはポッキーのイベントに出演していたし
多分、おそらく、きっと、実話なのだろう。


とにかく、今から十年以上前に、The Cherry Boy というバンドが居た。


同じ頃、僕はネットの片隅で、言葉を書いていた。
彼等が華々しいステージに立っていた頃、僕はひとりで部屋にこもり
空き缶だらけの部屋で、煙草を吸いながら、毎晩、宛のない言葉を書いていた。

その中で 「ボクラが残したコトバ」 という作品を書いた。

これが運よく、当時のテキストサイトという流れの端っこを掴んで
ネットの片隅にあるだけだった無名のサイトにも、人が訪れるようになった。
やがて流れが流れを呼んで、「ボクラが残したコトバ」を出版したいという話になった。

当時はまだ「ネット小説」という考え方がほとんど定着していなかったし
(もちろんネット上で書いている人はいたけれど
 それはあまり一般的ではなかったし、小説というのは本屋で買って読むもので
 ネットで読めるものは所詮は素人小説、という読み方をされるのが大半だった。)
そんなネット発信の小説を出版したいというのは、なかなか大それた考えだった。

しかも別に出版社から声がかかった訳では無くて
それを読んでくれた人達からの、純粋な声だった。
どうすれば良いのか、僕は考えた。

今のように「あなたの作品を本にしてくれるサイト」というのも、まだ無かったし
もちろん「あなたの書いた小説を本にしませんか?」という広告も見かけなかった。

なんというか、紙媒体に対する感覚というか、敷居が高かった。
本というのは、何となく「神聖なもの」だった。
少なくとも、今よりも、ずっと。

最終的に、僕は、デザイナーの親友に依頼した。
その思い入れたっぷりの作品を、自費出版することにした。

学生時代、共に笑い、悩み、過ごした親友と
こうして一緒に何か生み出せるということが、単純に誇らしかった。

何せ僕は、卒業してから数年間、家に閉じこもっていたし
親友は、そんな僕を気にかけてくれていたので
一緒に何かを生み出せるということが、単純に誇らしかった。

当時の僕の頭の中を、全て言葉にした作品は
こうして一冊の本になった。

そんな頃、僕はあるバンドと、一枚の CD に出逢った。


今から十年以上前に、The Cherry Boy というバンドが居た。


彼等の一枚目のシングル「アイ・ユメ・ハナ」を聴いたとき
僕は小さな衝撃を受けた。

瑞々しくも激しく、繊細で悲しく、淡い怒りにも近く
思春期の一時期にしか感じることのできない
言い難い感情を、その貴重な一瞬を
大きくて細いハサミで切り取ったような、曲だった。

そして、その歌詞を読んで、僕は小さな衝撃を受けたのだ。
それは親近感にも、同族嫌悪にも似た、よく分からない感覚だった。
そこには「ボクラが残したコトバ」で書いた世界に、近い世界がある気がした。
それで僕は、その曲が気にかかるようになった。

「ボクラが残したコトバ」
その薄い本――全89ページだった――が完成した時
僕は The Cherry Boy のメンバーに声をかけた。

アイ・ユメ・ハナを、この作品のテーマ曲にしても良いか。

今思えば、突拍子もない提案だった。
ネットの片隅で書かれた言葉(繰り返すが、そこに今ほどの価値はなかった)に
当時の彼等がわざわざ積極的に興味を抱く必要性や、メリットはなかった。
ところが返事は、意外なほど呆気なかった。

「良いですよ」

あれが社交辞令だったのか、本当に良かったのか
あんな、ふたつ返事で決めて良いものだったのか
今となっては解らない。

とにかく
「アイ・ユメ・ハナは、ボクラが残したコトバのテーマ曲だ」と
公式なのか、非公式なのか、よく解らずに言っていた頃から
気付くと十年以上が経った。

「これを書き上げなければ死ねない」

そう思った日のことを、僕は今でも鮮明に覚えている。
あれは最終話を書き上げる夜のことだ。
僕はアルバイトの最中だった。

汗をかいて働きながらも、早く家に帰りたかった。
早く家に帰って、最終話を書き上げたかった。
それで「書く前に死ねない」と思った。

あの日の僕にとって、それが世界の全てだったし
全くまるで、世界の全てを知った気分でいた。

それから今日まで
あの日には想像もできなかったことが
嘘みたいな出来事や、うれしいこと、かなしいこと
生きていて良かったと思えることまで、沢山あった。


今から十年以上前に、The Cherry Boy というバンドが居た。


今は居ない。
もう解散してしまったから。

しかし最近、こんな噂を聞いた。

「どうやら一夜限りで、The Cherry Boy が復活するらしい?」

本当だろうか。

北海道のインディーズ記録を塗り替えた、だとか
ブレイクのチャンスを国民的アイドルに持っていかれた、だとか
そういった類の、都市伝説的な、単なる噂話じゃないだろうか。

しかし今日まで
あの日には想像もできなかったことが
嘘みたいな出来事や、うれしいこと、かなしいこと
生きていて良かったと思えることまで、沢山あったように。

このニュースは世界の誰かにとって
生きていて良かったと思えるようなニュースなのかもしれない。

彼等の復活 LIVE は、一日限り、11月29日に敢行される。
LIVE までの様子が「カウントダウン・ブログ」で日々更新されている。

それで僕は、そんな復活ニュースの小さなお祝いに
11月11日からの、この11日間、「ボクラが残したコトバ」を再掲載した。

そして「歌う男」が紡いだ物語の最後に
(それは「現」という題名の、第十話の終わりに)
ある曲を、載せた。


「アイ・ユメ・ハナ」


この動画に使用した音源は
当時の熱心なファンでも知らないと思う。
オリジナルの CD とも、過去の LIVE 音源とも違う。
なぜならこれは、今、現在の、彼等の練習中の音源だからだ。

あるメンバーから受け取った音源だ。

僕は、その練習中の
今現在の、彼等の音を聴いて
当時と同じに、しかし当時とは違う、その音を聴いて
この動画を作った。

他のメンバーの人達からの許可を得ていないので
はっきりいって、大人なのに、もしかして怒られるかもしれない。
LIVE に向けての練習中の音だから、余計に嫌がられるかもしれない。

しかし、あえて言いたいのは、この曲は、この感じが良いのだ。
偉そうな言い分だが、この練習中の、この感じだから、僕は良かった。

瑞々しくも激しく、繊細で悲しく、淡い怒りにも近く
思春期の一時期にしか感じることのできない
言い難い感情を、その貴重な一瞬を
大きくて細いハサミで切り取ったような、未完成な雰囲気が良かった。

なので寛大な心で、許していただきたい。

そもそも、まぁ、僕はこの曲が好きだし
公式テーマソングということで、昔、CD も沢山売ったので
多分、許してくれると思う。

それでも、このエントリーをメンバーの誰かが読んで、もしも怒ってしまったら
思わずネット上に拡散(リツイートもといシェア)してしまうかもしれない。
それも仕方がない。甘んじて受け入れようと思う。
拡散、してしまうかもしれない。
拡散、な。な。……な?


今から十年以上前に、The Cherry Boy というバンドが居た。


今も居る。
一日だけ復活するから。


※ちなみにこの動画に使用しているイラスト達は
 当時「ボクラが起こしたコトバ」の読者から寄贈されたものです。感謝。
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[ 2013/11/22 23:30 ] 雑記 | TB(-) | CM(0)
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