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ひとさしゆび

詩でも書くよ

きみが 絶望だらけだと 絶望してるから


だけど 勘違いしないでほしい

文字には力があると 勘違いしないでほしい

それから 言葉には力があると むじゃきに信じることも


それで いまから詩を書くけれど

ひとさしゆびで 鍵盤を ただ 押していたんだよ

同じ音が鳴るだけで ただ ぼくはそれを繰り返していた


それは 大きくて立派なピアノだったけれど 弾き方を知らなかった

それで ひとさしゆびで 鍵盤を ただ 押していた

ただ ぼくはそれを繰り返していた


ほかには だれもいなくて ぼくひとりだった

なので そこで音は ぼくだけの音 だった

そして ただ それだけの音 だった


考えてもみてほしい

ほかには だれもいない場所で

ただ ひとさしゆびで 鍵盤を押し続けて

ただ 同じ音を ずっと鳴らし続けるってことを


今ならば わかるよ

指を横にずらせば 別の音が出るってことや

他の指をつかえば 他の音と重なるってこと


だけど ぼくは知らなかったんだ

そして 知っていても できなかった


それで かんがえた

それでも 同じ音を 延々と押し続けるっていう

この単調で退屈な行為を このまま続けるのか



それとも やめてしまうか



ここで今一度 きみに確認しておくよ


あのね 勘違いしないでほしい

文字には力があると 勘違いしないでほしい

それから 言葉には力があると むじゃきに信じることも


それで いまから話を続けるけれど

ひとさしゆびで 鍵盤を ただ 押していたんだよ

同じ音が鳴るだけで ただ ぼくはそれを繰り返していた


他に方法を知らなかったし 他にすることもなかったからね

だけれど 同じ音を鳴らし続けるのは 退屈なので

少しだけ変えるってことを思い付いた


指を横にずらせば 別の音が出るってことや

他の指をつかえば 他の音と重なるってことを

ぼくは知らなかったのでね


せめて

ひとさしゆびで音を押す

タイミング や リズムってのを


「変えたんだ」


タン タン タン

タン タン タン

タンタン タタタン タン タタタタ タン


ぼくは 少しだけ ほんの 少しだけ

ぼくの音が たのしくなった

すきになった


それは 少しだけ ほんの 少しだけ


音が 音符となり 音階を与えられ

別の音符と 連なり 重なり 奏でられ

時間的な長さや 高さや 位置関係をつくり

やがて もしも ひとつの曲が生まれたとして


やっぱり それでも それ そのものが

きみの絶望を 晴らすことができるなんて 思わない

そして この単なる文字や その文字が連なり 重なり

意味を持たせた言葉が きみを救えるなんて 思ってはいないよ


それでも 詩を書くよ

きみが 絶望だらけだと 絶望してるから


ひとさしゆびで 文字を打つよ

それは ただ鍵盤を押していたころの ぼくと同じに


こうして 詩を書くよ

きみが 絶望だらけだと 絶望してるから


ひとさしゆびで 心臓を叩くよ

一文字 一音 一分 一秒 ああ ほかに方法がない


ひとさしゆびで 笑わせてみたい

ひとさしゆびで きみの絶望を 殴るんだ


きっとぼくは あっけなく突きゆびして

きっときみは 少しだけ ほんの少しだけ笑うよ
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[ 2015/03/02 01:18 ] 詩歌 | TB(-) | CM(0)
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